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岩通ソフトシステム株式会社はソフトウェア開発からサービスまでをトータルで提供するソリューションプロバイダです。

WebRTCの現状と今後の動向

 WebRTC導入編ではWebRTCの基本的な説明やサービス例をご紹介しました。
今回は、WebRTCの現状と今後の動向についてまとめました。

  ●前回のおさらい
  ●WebRTCの動向
  ●WebRTCの今後
  ●総括と弊社の取り組み

なお、本コラムの内容は 2015年12月 現在の情報です。
最新の情報を追えていない部分があるかもしれませんが、ご容赦下さい。

前回のおさらい

●WebRTCとは

 WebRTC(Web Real Time Communication)は、映像と音声(及びデジタルデータ)を相互配信するためのオープンな規格です。
WebRTCを利用すると、プラグイン無しでWebブラウザ間のボイスチャット、ビデオチャット、ファイル共有ができます。
       

●WebRTCの利点

 WebRTCはコールセンタ、会議システム、教育システム等様々なサービスで利用され始めています。
WebRTCの利点は以下のようなものがあります。
  • サービスの利用者はPC+ヘッドセットやスマホ等の安価な機器だけで利用できます。専用の機器は必要ありません。
  • ブラウザの基本機能を使用するので、アプリケーションやプラグインのインストールは必要ありません。
  • ホームページからWebRTCを使用したリアルタイム通信を起動できるため、手軽に利用できます。
詳細については前回のWebRTC導入編をご覧下さい。

WebRTCの動向

 現在、WebRTCという技術はどのような状況にあるのかを説明します。      

●標準化

 現在、W3CとIETFという二つの標準化団体で標準化作業が行われています。
  • W3C      

 W3CではブラウザのAPI周りの仕様を標準化しています。
WebRTC 1.0 APIについてはほぼ完成されてきました。
現在は最終化(最終草案:LC)の作業中です。
仕様は全て草案(WD)か最終草案(LC)の段階でCR(勧告候補)まで至っていませんが、ブラウザの実装が先行しているため、仕様化は後回しのようです。
恐らくWebRTC 1.0がCRに進むのは2016年第一四半期あたりになります。 しかし、後述しますが次世代の仕様についての議論は始まっているようです。
  • IETF     
     

 IETFではWebRTCで使用されるプロトコル周りを標準化しています。
徐々にRFCが登録されてきています。
仕様としては2016年の早い段階である程度固まりそうです。

     

まとめると、
 「プロトコル仕様もAPI仕様も最低限必要なコア部分の仕様は概ね作業が完了しつつある。
  ただし、改善が続けられているため、仕様として確定するのはもっと先になる。」
という状況です。

     

●各ブラウザの実装状況

各ブラウザは仕様の標準化と並行して実装されていたため、以下のように概ねWebRTCに対応しています。

PCのブラウザ 
Google
Chrome
Firefox Opera Internet
Explorer
Microsoft
Edge
Safari
※標準のAPIは対応していませんが、EdgeのBeta版では後述するORTCというAPIに対応しています。

Androidのブラウザ
Google
Chrome
Firefox Opera

   iOSのブラウザ
Google
Chrome
Safari
     

WebRTCの今後

 キーワード毎にWebRTCの今後について考えます。 

●ORTC

 実はリアルタイムコミュニケーション用のAPIにはもう一つ、ORTC(Object-RTC)というAPIがあります。
こちらはMicrosoftが主導で推し進めており、低レベルのAPIをサポートしWebRTCにはできない機能もいくつか入っています。
Microsoft が力を入れているだけあって、Microsoft EdgeにはWebRTC 1.0ではなくORTCが実装されます。
EdgeのBeta版が初めてのブラウザ実装なので筆者はまだ試せていませんが、ORTCはWebRTCと互換性があるので利用者としてはアプリケーションの中身がWebRTCかORTCかを気にする必要はないかと思います。
重要なことはWindows(10以降ですが)標準のブラウザでもリアルタイムコミュニケーションができるようになるということです。

●WebRTC NV
 ORTCの出現によって、WebRTC側も影響を受けました。
現在、WebRTC NV(Next Version)として次期バージョンにORTCを取り込むべく、議論が進んでいます。
ORTCを取り込むことによってより自由度の高いAPIになることが予想されます。
今後の動向に注目です。

●iOSへの実装
 ここまでの記事を読むとiOSだけが取り残されている感じがあるかもしれませんが、Appleも何もしていないわけではありません。
元々AppleはW3Cの標準化に参加していますし、iOSで使用されているWebKitというエンジンにWebRTCを実装するという取り組みも(Apple主導ではありませんが)積極的に行われていました。
最近ではAppleがWebRTCのエンジニアを募集したという話もあります。
後述するネイティブアプリによる実装という手段もありますし、現時点でiOSが対応していないからと言ってそこまで悲観する必要はなさそうです。

●モバイル
 AndroidのブラウザはWebRTCに対応していますが、iOSのブラウザは現時点では対応していません。
しかし、実際のところスマホやタブレットといった限られた画面サイズでWebブラウザからビデオチャットをしたいと思うでしょうか?
用途にもよりますが、ことモバイルにおいてはWebサービスをブラウザで直接つかうよりはアプリをダウンロードして使用するほうが多いと思われます。
iOSのブラウザは現時点では対応していませんが、アプリケーションでWebRTCを扱うことは可能です。(もちろんAndroidでも可能です。)

 また、モバイルはカメラ、マイク、スピーカー、インターネット接続等、リアルタイムコミュニケーションを行う上での必要な機器が全て揃っており、WebRTCと非常に相性がよいと言えます。
今後も対応アプリは続々と増えていくと考えられます。

     

●IoT
 IoT(Internet of Things)の分野でもWebRTCは積極的に使われていくと予想されます。
特にWebカメラやロボット等で映像/音声扱う場合にWebRTCは力を発揮します。

          

総括と弊社の取り組み

●総括
 WebRTCはまだ認知度も低く一般的とは言えない技術ですが、徐々に環境が整ってきています。
今の時代に合った、Webを進化させる技術として今後も発展していくに違いありません。     

●WebRTCに対する弊社の取り組み
 弊社では常に新しいユーザエクスペリエンスをお客様に提供すべく、WebRTCを始めとした最新技術の情報収集やアプリ開発を積極的に行っています。
ご相談などありましたら是非お問合せ下さい

●WebRTCの位置づけ
 ここまでWebRTCを中心とした記事を書いてきましたが、あくまでWebRTCは実装の選択肢の一つと考えています。
弊社ではWebRTCにこだわることなく、お客様のニーズを把握し最適なソリューションを提供することをお約束します。

参考:●Web Real-Time Communications Working Group
   ●Rtcweb Status Pages
   ●HTML5 Experts.jp
   ●Object RTC (ORTC) API for WebRTC
   ●WebRTC_NV.pdf
   ●WebRTC by Dr Alex
   ●WebRTC in WebKit
画像:●Don McCullough - Drone and Moon / Flickr