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岩通ソフトシステム株式会社はソフトウェア開発からサービスまでをトータルで提供するソリューションプロバイダです。

ロケーションUI(User Interface)Location UI (User Interface)

 このページでは、弊社が推進するロケーションUIについて説明します。

コンピュータのユーザインタフェースについて

 コンピュータのユーザインタフェースは、コマンドという文字列をタイプする1970年代のCLI(Command Line Interface)からグラフィックを使用してボタン、メニューなどをディスプレイ上に描画するGUI(Graphical User Interface)を経由して、Post-WIMP(Windows、Icons、Menus、Pointing devices)としてのタッチパネル、ジェスチャー、音声などの人間として自然な動作でコンピュータを制御するNUI(Natural User Interface)、RUI(Reality User Interface)、PUI(Perceptual User Interface)などに進化してきています。NUI、RUIもしくはRBI(Reality Based InteractionまたはInterface)、PUIは相互に関係する概念を含んでいて、どれがどれと明確に区別することは難しいと感じています。

 また、Skeuomorphismという言葉で表される現実の世界のイミテーションをユーザインタフェースに使い、使い勝手を向上することも多く行われています。

 UIは、このような進化を遂げていますが、そもそもコンピュータのユーザインタフェースのレベルには、二通りあると考えており、一つは一般に使われる分かりやすいインタフェース、もう一つは効率的に使えるインタフェースであると考えています。
 分かりやすいインタフェースは、マニュアルなどを読むことなく、初心者でも使えるインタフェースのことで、最近の多くの機器やソフトウェアが採用しているインタフェースです。
 効率的に使えるインタフェースとは、別の言い方をすればプロフェッショナルが使うインタフェースのことです。例えば、分かりやすいインタフェースを使うと、1時間かかる仕事を5分でできるように工夫されていたり、プロフェッショナルが良く使う細かな指示が行えたり、使用する用語は難解ですが厳密なインタフェースなどのことです。

 ユーザインタフェースに関しての前置きはこのへんにして、以降では、弊社が推進しているロケーションUIについて説明します。

ロケーションUIについて

 ここで言うロケーションUIは、弊社の造語で、広く使われている用語ではありませんが、GUIとは一線を画し、上にあげたPost-WIMPのSkeuomorphismに近いものですが、それほどの目新しいものではありません。現実の世界が持っているロケーションに関係した写真、絵、イメージをUIに使用して理解しやすく、間違いのないUIを狙ったものです。ここでは、アカデミックな説明は抜きにして、ロケーションUIの有効性について説明していこうと考えています。

 最近は、どんなアプリケーションのGUIも画一的に見えてしまいます。展示会で、アプリケーションの画面だけ見ても、表示されているキャプションを読んでいかない限り、何のアプリケーションなのかを想像することすら難しいというのが現状です。ロケーションUIのほとんどの画面は、一般的に使用されているGUIで無理やり置き換えることができますが、その結果は、直感的に理解できない、多くの情報を失った画面になってしまうのは誰もが認めるところであります。

 最近は、スマートフォンやタブレットという移動端末が多く使われており、今までコンピュータを使ったことがない人でも、これらの端末を使うようになってきています。彼らの中には、初めてコンピュータ端末を使う人も相当数いると考えられ、ロケーションUIは、このようなシチュエーションにおいて直感的なインタフェースを提供し、分かりやすい操作を提供することができます。

既存のものでもたくさんある

 ロケーションUIは、既に存在するロケーションに関係した写真や絵をコンピュータディスプレイ上に表示し、その写真や絵の該当部分を操作することで対象を制御したり、該当部分に状態を表示することで対象物の状態を分かりやすく表示するものです。
 文章で説明しても分かりにくいと思いますので、以下で例を使って説明します。 

 ある会社でオフィスの中の温度を自動的に調べて表示することになったと仮定します。下図は、このオフィスのレイアウト図で、図の中の★印の場所が計測ポイントです。これらの場所の温度を調べることにしました。

 

 
 
 

 その結果をWebを使用してみんなで見られるようにしようということで、次のようなWebページを自動生成するようにプログラミングしましたが、あまり評判が良くありません。理由を聞いてみると、どこの場所の温度を表示しているのかが分かりづらいということでした。

 




 そこで、次のWebページを表示するようにしたところ、どこの温度かが誰にでもわかるようになりました。また、温度によって色を変えることで、さらに直感的に理解できるようになります。

 




 簡単に説明するとロケーションUIは、このようなものなのですが、お分かりいただけたでしょうか? 典型的な例としては、Google Mapsに代表される地図ソフトなども該当します。

 ロケーションUIは、絵や写真を使用して、誰にでも理解できる直感的なインタフェースを提供します。もちろん、なんでもかんでもロケーションUIにできるかというと、そんなことはありませんし、また、ロケーションUIの方が使いにくくなるということもあります。
 CLIにはCLIの良さがあるように、それぞれのUIには利点も欠点もあり、組み合わせて使用できるようにしたり、適材適所で使うというのが最も使いやすく効率も良い使い方です。

 ここで、ロケーションUIについて整理してみましょう。

利点

 人は、実世界に存在するものについては、その形を認識しています。例えば、上のオフィスのレイアウトのように、誰かにレイアウト図を見せてもらったわけではなくても、オフィスにいる人は、頭の中でレイアウトを自然に作り上げて、そのレイアウトをベースに考えます。また、ソフトウェア構造などのように形が実際にないものでも、頭の中でイメージを作っていれば、形としてのイメージを具体的に持っていることになります。良く利用されるソフトウェア構造のブロック図などが、この例に該当します。
 これらのイメージを表示することによって、場所やモノを明確に言葉では識別できない場合でも、識別することができるようになります。ロケーションUIは、この仕組みを利用しています。

応用分野

 ロケーションUIの応用には、下記の分野において記述したような様々な用途があります。また、ロケーションだけではなく、対象をモノにまで広げることによって、更に用途が広がります。この場合には、ロケーションUIとは呼ばずに、ピクチャーUIと呼んだほうが良いかもしれません。

オフィス
社内電話帳
施錠状況
ドア、窓の開閉状況
エアコンの温度設定
調光
エネルギー消費
店舗
売り場案内
書店の本の検索端末
CDショップのCDの検索端末
エレベータ、エスカレータの運転状況
調光
工場
エネルギー消費状況
調光
各種施設
図書館の本の検索端末
ナースコール発信端末表示
教育
小中高校の出席アプリ
駐車場
駐車場の空き表示
駐車場の駐車位置表示

応用例

 最後にロケーションUIを使用した応用例をいくつかご紹介いたします。ご紹介する応用例は、弊社の親会社である岩崎通信機株式会社の製品に組み込む形でお客様に納入したロケーションUIで、実際に業務で使用されているものです。UIの表示は、無線LANでLANに接続されたiPad上で行うことを前提としており、ロケーションフリーの操作を提供しています。

 下の応用例は、電力削減、作業環境向上のためにLED照明の調光を行うUIです。
 このインタフェースは、工場で使用されいるもので、工場のレイアウト図が下に薄く表示されています。
 多数表示されている青い四角は、現在のLEDの調光状態を表しており、各々の四角が調光エリアの単位を示しています。画面の右下の凡例にあるように、色が暗くなるほどLEDが暗い状態であることを示しており、暗い場合には電力が削減されていることが分かります。
 iPad上で青い四角をタッチすることで、スライダーが表示され調光状態を変更することができます。また、複数のエリアを一括して調光したいという要望に応えるために、複数のエリアを同時に選択できる工夫がされており、一度の操作で全照明の調光を行うこともできますし、一つのエリアだけを調光することもストレスなく行えるようになっています。
 建物の横幅は50m程度あるため、従来であれば、その照明のスイッチのところまで行って、調光しなければならなかったものが、どこにいても希望したエリアの調光が行え、どのスイッチがどのLED照明に対応しているかを意識することなく直感的に操作できるようになりました。




 下の例は、上の例と同じ工場で使われているUIで、セキュリティ監視のためのUIです。
 このインタフェースでも、工場のレイアウト図が表示されていて、直感的に理解できるようになっています。
 緑、赤、黄色の丸や四角は、画面下の凡例に示した内容を表していて、窓やドアの開閉状態や施錠状態を表示しています。また、画面の上部は、旧来のWIMP型のボタンやテキストフィールドが配置されており、折衷型のユーザインタフェースとなっています。
 解放状態になっている窓や、施錠されていないドアなどがロケーションとして表示されるため、分かりやすく、コンピュータに慣れていない人でも十分な情報を読み取れるようになっています。




 ここでご紹介した応用例のようにロケーションUIは見ただけで直感的に理解できるパワーを持っています。


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